専門家インタビューストーリーにこそ、学びがあり、勇気を与えられる2024年8月から開催される「地域包括ケアシステム推進の実践ガイド」セミナーが、全国の保険者さまから反響を頂いている(主催:株式会社日本経営)。本セミナーを企画した宇野明人さん(株式会社日本経営 コンサルタント)に、セミナーの開催趣旨と見どころのポイントについて、お聞きしました。― まず「地域包括ケアシステム推進の実践ガイド」はどのようなセミナーか、概要を教えてください。宇野:地域包括ケアシステムを推進するための「概論と実践事例」を、オンライン開催にてご紹介するセミナーです。1時間半という短い時間の中で、3名の方にご登壇いただきますので、かなり凝縮されたセミナーになると思います。地域包括ケアシステムの概論を、松川竜也氏からご紹介いただきます。男鹿市介護サービス課の課長兼地域包括支援センター所長 船木晶子氏から事例紹介をしていただきます。データ分析専門の近藤瑛佑から、地域分析における仮説立てについてご紹介します。― 全国から大きな反響がありますが、いま地域包括ケアシステムの推進で困られている保険者さまも多いのでしょうか?宇野:実は5年ほど前に、同じようなセミナーを対面で企画したことがあったのですが、当時は見事に空振りに終わりました。しかし現在、環境も大きく変わり、地域包括ケアシステムの推進でお困りのご担当者さまや保険者さまが多いという実感があります。オンライン開催ということもあり、おかげさまで現在、多くの反響をいただいています。「実践ガイド」と謳っていますように、知識習得のためではなく、実践の後押しになるためにはどうすればようかという視点で、企画を組み立てました。上司に説明・企画するために、ポイントを押さえて理解したい(概論)他の市区町村が取り組んでいる実績を知り、「できる」という確信がほしい(事例)自分たちの市町村の課題に合った進め方をしたい(データ分析)このような課題にお応えするためのセミナーですので、「進めたいけれども、どこから着手すればいいのか分からない」「多くの関係者に影響があるので、簡単には一歩踏み出せない」。そうお考えのご担当者さま、保険者さまに、ぜひご参加・ご活用いただきたいです。― 一歩踏み出せないのは、簡単に言うと何が障壁になっているのでしょうか?宇野:地域包括ケアシステムは、大きな方向性は出されていますが、答えが提示されているわけではありません。地域事情の違いがあまりに大きすぎて、うまくいっている事例を知っても、それが自分たちの自治体の答えということにはならない。見える化システムというプラットフォームも、目的がなければ使えないのです。今回、男鹿市の取り組みについてトークセッションで深堀りしていくのですが、「取り組み・施策」だけ知っても、それが答えにはならないと思います。その施策がどういう段階を踏んで展開していったのかというストーリーにこそ、学びがあり、勇気を与えられるのだと思います。― 具体的に、ストーリーのどのような点に学びがあるのでしょうか?宇野:これはデータで見るとはっきりと傾向が出ているのですが、その地域が抱える疾患や介護の傾向といった課題は、地域の産業や生活様式に大きく影響を受けています。そこで、男鹿市でも、まず地域のデータを分析して仮説をもった上で、ご関係者の皆さまにヒアリング調査をしていきました。現場で調査を進めると、ケアマネジャーや行政、地域包括支援センターの皆さまは、お互いに壁があると感じている。質問を重ねていくうちに、「一緒にやらなくては」という声が聞こえてきたのです。そこで、初年度は核になる方々を対象に、研修会やワークショップなど行うことにしました。回数を重ねるうちに、皆さんの関係性も変わっていきます。一度そのような体験すると、さらに多くの関係者の方々にも加わってほしい。皆で取り組んでいきたい。そういう思いが生まれてきます。三年目は船木晶子氏の推進もあり、ほかの課や警察、消防、民生委員の方々などにも、すそ野が広がっていきました。多職種連携研修として、疾患別のケアマネジメントなど、具体的な仕組みに落とし込まれていきました。男鹿市では、病院に行くのは「格好悪い」という文化がありました。だから健診の受診率は他の地域に比べてかなり低い。これはごく一例なのですが、地域には独特の課題があります。地域の方々が情報を持ち寄り、意見を出し合う中で、切羽詰まった本当に解決しなければならない地域課題に、皆で気づいていけるのです。地域包括ケアシステムを推進しようと思えば、地域関係者の方々のこのような「規範的統合」が不可欠なのですが、それを実践された事例は、大きな勇気になると思います。― 規範的統合について、成果はどう考えるのでしょうか?宇野:ご指摘のとおり、「規範的統合」の段階では、目に見える成果がすぐには見えません。しかしひとたび「規範的統合」が進めば予算も投下しやすくなりますし、その後の施策には大きく拍車がかかります。「規範的統合」を踏まずにいきなり施策を断行すると、結果は早く出るかもしれません。しかし、それでは地域を包括したとは言えない。反対する人が出るような進め方をするのではなく、皆で共通認識を持てる領域から取り組む。そして広げていく。しかし確実に方向性を変えていく。そのような進め方は、どの地域でもできるのだと思います。― コンサルタントはどのような役割を果たすのですか?宇野:コンサルタントの役割は、「お客様がどういう値打ちを感じて下さったか」ということが重要だと思います。お客様にインタビューすると、私たちが思いもしていなかったような観点でお話しいただけることがあります。お客様の声に、私たち自身も気づかされます。一方で、私は行政のご担当者の方々が抱える「不安」ということも、感じています。地域の事業者の方々からいろいろな声をいただく。解決したい、地域をよくしていきたい。しかし人事異動もある中で、3年でどこまで取り組めるだろうか。そのようなとき私たちコンサルタントは、中長期の計画を実現するためのハブとしてお役立ちできるのではないか。地域包括ケアシステムのような、1年や2年で解決できない地域の課題に対して私たちが果たす役割はそこにあるのではないか、そのように感じています。株式会社日本経営 介護福祉コンサルティング部宇野明人事例:地域の介護施設の機能再編に向けた基本構想策定業務 は「こちら」PR:地域包括ケアの推進支援(行政支援)は「こちら」